関節可動域制限と動作障害 〜股関節編〜

リハビリ
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この記事を読むことで、股関節疾患のリハビリテーションにおいて生じやすい動作障害を把握することが出来ます!

皆様お元気でしょうか。臨床の現場ではまずはじめに関節可動域を測定すると思います。その角度を元に目標やプログラムを立てると思います。

関節可動域について私は以前から「関節可動域制限によって障害がされる動作がすぐに思いつけばいいのにな」と思っていました。

そこで本記事は股関節の関節可動域制限と動作障害についてまとめてみました。股関節の骨折はリハビリの対象として多く占めており、特に術後は関節可動域制限を併発することも多いです。そのため、予め起こりうる動作障害を把握しておくことが大切です。

注意していただきたいのがこれらはあくまでも参考数値です。方法の工夫や代償によって行える場合もありますので、必ず動作を試してみることが必要です。

関節角度から事前に動作障害の目処を立てるという目的で皆様の臨床の参考にしてみてください。

引用 「関節可動域表示ならびに測定法」
日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会(1995 年)

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あぐら

あぐらで必要な角度は股関節屈曲90度 外転15度 外旋80度です。あぐらという姿勢は女性の方はあまり取る方は少ない印象ですが、男性の患者さんの場合はとる頻度が多い動作になります。

車椅子座位

特に普通型車椅子座位では股関節屈曲90度が必要になります。もし90度以上屈曲が難しい場合は臀部が前方に滑ってしまう可能性がありますのでリクライニング式の車椅子への変更を検討しましょう。

立ち上がり

立ち上がりには股関節屈曲105度が必要と言われています。屈曲角度を確保できない場合体幹を屈曲させ重心を前方へ移動することが難しいためです。この場合は座面を高く設定することや手すりを利用する等の工夫が必要になります。

ズボンの着脱

ズボンの着脱も下方へのリーチ動作が必要なため股関節屈曲が必要になります。立って行う場合は100度座って行う場合は120度となり、座る場合の方がより屈曲角度が必要です。転倒予防のため高齢者や下肢機能の低下がある方は座って行う方が安全でしょう。

靴下の着脱

靴下の脱着は立位で120度、座位で130度必要となります。ズボンに比べて足先まで手を伸ばす必要があるためより股関節の屈曲角度が求められます。この角度になると股関節骨折後や人工骨頭置換術後では可動域制限が生じ、動作が困難になることが多いと思われます。また人工骨頭置換術後は股関節の過度の屈曲、内転、内旋動作で脱臼が生じやすくなるため避けるべき動作となります。そのような場合にはソックスエイドという自助具が有効です。

その他

他にも股関節の外転、外旋が制限されるとオムツの交換介助に支障が生じやすくなります。

伸展が制限される場合には歩行時の歩幅が減ることやうつ伏せになれない等の制限が出てきます。また立位姿勢で腰が引ける状態となり立って行う多くの動作に支障が生じます。 

最後に

このように股関節の関節可動域制限は多くの動作障害を生じさせる可能性があります。しかしこれらはあくまでも目安です。冒頭にも書きましたが、大切なことは実際にやってみることです。もちろん関節可動域制限を改善させることは大切ですが、関節可動域制限が生じた場合も代償動作や環境設定等を行い、動作制限を少しでも減らしていくことも、広い意味でのリハビリテーションといえます。

膝関節編もありますので、ご確認下さい

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