住宅の環境設定〜パーキンソン病編〜

リハビリ
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今回はパーキンソン病の方の環境設定について記載しています。

パーキンソン病の症状としては

  • 筋固縮
  • 無動
  • 姿勢反射障害
  • 振戦

といわれています。特にパーキンソン病は進行することで姿勢反射障害が出現し、転倒リスクが高まります。転倒の不安から引きこもりがちになり、活動量が乏しくなることで生じる廃用症候群に注意が必要になります。

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家族指導

パーキンソン病の方は無動の影響で動作が遅くなったり、会話において返答が遅くなることがあります。そのため家族にとってはストレスの原因になることもあり、催促することで御本人のストレスにも繋がります。そのためご家族へ病気の内容や時間に余裕がある場合は待ってなるべく本人ができるよう促すなどを指導することがとても重要だと感じています。私が担当した症例の場合でも、ご家族の方に知識が十分でなかったため、本人に催促をしたり、強い口調で接してしまい結果として本人もご家族も精神的な負担が生じている例がありました。パーキンソン病は、本人のやる気だけではどうしようもないものですがしばしば「やる気がないからだ」と言われているご家族がいらっしゃることも事実です。そのような場合はご家族にしっかりと病状を説明をしてご理解いただくことで、良好な家族関係へ繋げていくことも担当するスタッフの使命だと感じています。

転倒予防

パーキンソン病は突進歩行や小刻み歩行等が生じ転倒へのリスクがとても高い疾患です。そのため転倒により股関節骨折や頭部外傷などが生じることも少なくないため環境設定や指導が重要になります。

パーキンソン病では軽微な段差の場合でも転倒につながるためすりつけ板を設置した段差解消や手すりの設置も有効になります。特にトイレの場合は下着の脱着のため可能であれば両側への手すり設置が望ましいとされています。他にも立位での動作となる更衣や靴の脱着も椅子を配置して座って行うことが転倒防止に繋がります。屋外の段差をスロープへ変更する住宅改修もありますが、パーキンソン病の場合は階段昇降は可能なケースが多いため安易にスロープにするとかえって危険なこともあるため注意が必要です。

またすくみ足対策としては介助バー付きの杖や廊下に30cm間隔でカラーテープを貼るなど視覚からの情報を入れることで一歩目が出やすいとされています。しかし私の経験上はそのような対策をとられている方はあまり見かけたことがありません。
私は歩行時に「1.21.2」と自ら声掛けをしていただくようにしています。この方法であれば特別な道具も必要なく手軽に導入できるためおすすめしています。

パーキンソニズムの歩行障害に対する運動療法として,線引き等の視覚刺激や号令・メトロノーム等の聴覚刺激を利用した,いわゆる外的刺激が有効であることは知られている。

引用 理学療法の歩み 20 巻 1 号 2009 年1月 音楽と音リズム刺激を用いた運動療法の試み

姿勢反射障害によって転倒を繰り返す場合は保護帽子やヒッププロテクターを利用することで転倒によって生じる骨折や頭部外傷のリスクを軽減できます。現在保護帽子も普段遣いできるオシャレなものもあるため、外出時なども利用できると思います。

大腿骨を保護するヒッププロテクター

パーキンソン病に適した歩行補助具については、調べてもあまり記載がありませんでした。前述したように介助バー付きの杖は実際に使用されているかたを見かけたことはありません。経験上多くは独歩での付き添い歩行や歩行器だと感じています。歩行器の場合は突進歩行によって前方へ転倒する可能性もあるため、自動抑速ブレーキ付き歩行器を検討するのもよいかと思います。

最後に

パーキンソン病の環境設定はいかに転倒による新たな機能障害を生じさせないかだと考えます。できる限り長い間動ける体力や筋力を維持し、社会参加や生きがいにつなげていく、そのような関わりや環境設定が行えるといいなと感じています。

最後まで読んで頂き誠にありがございました。

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